高配当銘柄と株主優待をこよなく愛する自称『ハイブリット投資家』のペリカン(@Pelican_Blog )でございます。
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本日考察する銘柄は、日本プラスト(7291)です。前期は年間30円へ倍増配となりましたが、今期は25円予想と一転して減配見通しになっています。株主優待はありませんので、配当と業績だけで判断していきます。
日本プラストはどんな会社?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名・コード | 日本プラスト株式会社(7291・東証スタンダード市場) |
| 代表者 | 代表取締役社長 時田 孝志 |
| 本社所在地 | 静岡県富士宮市山宮3507-15 📍 本社をストリートビューで見る |
| 設立/上場 | 1948年10月/1990年12月 |
| 事業構成 | ハンドル29%、エアバッグ30%、樹脂部品28%、他13%(2026年3月期) |
| 従業員数 | 連結5,588名(2026年3月期) |
| 時価総額 | 約91.2億円(470円×19,410千株で計算) |
ハンドルとエアバッグを主力とする独立系の自動車部品メーカーです。売上高の6割強が日産自動車向け、3割がホンダ向け。海外売上比率は62%で、なかでも北米が売上の過半を占める構造になっています。
この記事の結論
記事中の利回りは、すべて基準株価470円(2026年9月4日終値)で計算しました。
今の株価水準なら、割高感はそんなにありません。(売買の判断は必ずご自身で)
今期予想の年間配当25円で計算すると利回りは5.32%。予想PERは5.5倍、PBRは0.24倍と、株価の側にはかなり余裕があります。ただし稼ぐ力は弱く、増配の余地も広くありません。大きく張る銘柄ではない、というのが今回の見立てです。
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配当は30円から25円へ
2026年3月期は期末20円に増配、年間30円
2026年5月8日、会社は2026年3月末を基準日とする期末配当を、直近予想の10円から20円へ引き上げると発表しました。中間の10円と合わせて年間30円。前期の15円からちょうど倍になった計算です。
| 決算期 | 中間 | 期末 | 年間 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期(実績) | 7.50 | 7.50 | 15.00 |
| 2026年3月期(実績) | 10.00 | 20.00 | 30.00 |
| 2027年3月期(会社予想) | 12.50 | 12.50 | 25.00 |
(単位:円)記念配当・特別配当は資料上ありません。すべて普通配当です。
2027年3月期は年間25円予想
今期は中間12.5円・期末12.5円の年間25円予想で、30円からは5円の減配です。2026年8月7日発表の第1四半期決算短信でも、この配当予想に修正はないとされています。会社四季報は翌2028年3月期を25〜30円と見ていますが、幅がある以上、下限の25円で考えておくのが無難でしょう。
配当方針は「連結配当性向30%・下限10円」
会社は、連結配当性向30%(年間配当金の下限値10円)を目安に安定的な配当を継続することを基本方針としています。今期予想の1株益84.75円に30%を掛けると25.4円ですから、25円予想は方針どおりの数字です。裏を返せば、利益が減れば配当も減る仕組みだということになります。下限の10円は470円で計算すると利回り2.13%ですので、歯止めとしてはかなり低い位置にあります。
業績はどうか
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 1株益 | 1株配 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 120,591 | 2,772 | 2,006 | 56 | 3.0円 | 15円 |
| 2026年3月期 | 114,861 | 2,647 | 2,499 | 2,012 | 106.2円 | 30円 |
| 2027年3月期(会社予想) | 118,000 | 2,400 | 2,000 | 1,600 | 84.75円 | 25円 |
| 2028年3月期(四季報予想) | 120,000 | 2,600 | 2,200 | 1,750 | 93.1円 | 25〜30円 |
(単位:百万円)2027年3月期は会社予想と四季報予想が売上・各利益とも同額です。1株益だけ会社84.75円・四季報85.1円と差がありますが、これは自己株式の扱いによる期中平均株式数の前提差と考えられます。本記事では会社予想の84.75円を使います。
良い点
2026年3月期は減収ながら、純利益が前期の56百万円から2,012百万円へ大きく戻りました。今期も売上118,000百万円・純利益1,600百万円と、利益水準そのものは落ち着いた予想です。営業CFは2,037百万円のプラスで、本業でキャッシュは回っています。
気になる点
第1四半期(2026年4〜6月)の中身が厳しいことです。売上は前年同期比1.3%増とほぼ横ばいでしたが、営業利益は87.3%減の86百万円、経常は14百万円の赤字、最終も154百万円の赤字となりました。
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | 損益 | 前年同期 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 10,916 | +6.5% | 336 | 48 |
| 北米 | 16,008 | ±0.0% | △134 | 551 |
| 中国 | 2,005 | △7.3% | △280 | △148 |
| 東南アジア | 727 | △16.3% | 126 | 150 |
(単位:百万円)売上高は外部顧客への売上高です。
原因ははっきりしています。売上の過半を占める北米が、米国の関税措置によるコスト増と金型売上の減少で赤字に転じました。会社は前期の未合意分を含む関税コストの価格転嫁について、第1四半期では大きな進展がなかったとしています。中国も日系メーカーの販売苦戦で減収となり、人員体制見直しの費用も加わって損失が拡大しました。国内が増収増益で踏みとどまったものの、海外の落ち込みを補うには足りませんでした。
通期の営業利益予想2,400百万円に対し、1Qの実績は86百万円。会社は業績予想を据え置いていますが、残る3四半期で挽回する前提には、関税コストの価格転嫁が進むことが含まれます。会社四季報も北米について価格転嫁の進展を織り込んでいましたので、ここが計画どおりに進むかどうかが今期最大の焦点です。
財務と余力指数
| 項目 | 2026年3月期末 | 2027年3月期1Q末 |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 43.9% | 44.0% |
| 自己資本 | 37,503 | 37,753 |
| 有利子負債 | 25,558 | 23,689 |
| 現金及び預金 | 13,855 | 13,855 |
| 差引(ネット有利子負債) | 11,703 | 9,834 |
(単位:百万円)1Q末の有利子負債は、短期借入金15,933・1年内返済予定の長期借入金2,936・長期借入金4,820を合計したものです。
自己資本比率は44.0%。私の基準である60%には届きません。現金を差し引いてもなお98億円の借入が残る形で、財務の余裕は大きくありません。1Qで借入が18億円ほど減っているのは良い動きですが、体質そのものが変わったとまでは言えない段階です。
よく出てくる「余力指数」って、結局なにを見ている数字なんですか?

ROE(自己資本に対して稼いだ割合)から、DOE(自己資本に対して配った割合)を引いた数字です。稼いだうち会社に残った分ですから、増配や還元の上積みがどれだけできるかの目安になります。
実績で見ると、会社四季報の2026年3月期はROE5.6%・DOE1.6%で、余力指数は+4.0ptです。予想ベースでは、基準株価470円をBPS1,987円(2026年3月期末)で割ってPBR0.24倍、1株益84.75円で割って予想PER5.5倍。ここからROEは4.3%、DOEは0.24倍×5.32%で1.26%となり、余力指数は+3.0ptとなります。
予想ベースの+3.0ptは、5段階でいえば「余力あり」の入口にあたります。ただし、ひとつ下の「やや物足りない」とは紙一重の位置です。配当を出す余力が消えているわけではないものの、ここから還元を厚くしていく体力がある数字ではありません。
配当利回りと投資指標
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 基準株価 | 470円(2026年9月4日終値) |
| 予想配当利回り | 5.32% |
| 予想PER | 5.5倍 |
| PBR | 0.24倍 |
| 予想配当性向 | 29.5% |
| 予想ROE | 4.3% |
| DOE(予想ベース) | 1.26% |
| 余力指数(ROE−DOE) | +3.0pt |
| 時価総額 | 約91.2億円 |
PER・PBRは基準株価470円を、1株益84.75円(2027年3月期会社予想)とBPS1,987円(2026年3月期末)で割った数値です。なお四季報には予想配当利回り5.39%とありますが、これは四季報作成時点の株価ベースですので使いません。
株主優待がないため、実質総合利回りは配当利回りと同じ5.32%(100株で年間2,500円)です。前期実績の30円で計算すれば6.38%になりますが、継続してもらえる金額は25円ですので、判断は5.32%のほうで行います。
100株の年間配当2,500円を4.5%で割り戻すと555円。基準株価470円はこれを下回っていますので、555円あたりが「ここまでなら買ってよい上限株価」ということになります。470円はその内側にあり、利回りの面では基準を満たしている水準です。
ペリカン投資基準との照合
| 基準 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 好財務(自己資本比率60%以上) | △ | 44.0%。現金を差し引いても98億円の借入が残る |
| 配当利回り4%超 | ⭕️ | 5.32%(470円・年間25円で計算) |
| PER15倍以下 | ⭕️ | 5.5倍。PBRも0.24倍と低い |
| ROE(8%超で⭕️、10%超で◎) | △ | 実績5.6%、予想4.3%。評価は予想ベース |
| 余力指数(ROE−DOE) | △ | 予想+3.0ptで「余力あり」の入口。実績は+4.0pt |
| 実質総合利回り4.5%超 | ⭕️ | 5.32%(100株・優待がないため配当のみ) |
合格したのは配当利回り・PER・実質総合利回りの3つ。引っかかったのは自己資本比率とROE、そして余力指数です。株価の安さと利回りは基準を満たす一方、会社の稼ぐ力と財務は届いていない、という分かれ方をしました。
ペリカンの結論
今の株価水準なら、割高感はそんなにありません。(売買の判断は必ずご自身で)
今期25円予想での利回り5.32%は、私の4.5%という基準を上回っています。予想PER5.5倍・PBR0.24倍と株価は低い位置にあり、配当性向29.5%も無理をしていません。年間配当の下限を10円と明記している点は、いきなり無配になりにくいという意味で安心材料といえます。実際、2025年3月期は1株益3.0円に対して15円の配当を維持しており、この歯止めは機能してきました。
ただし、腰を据えて買い増していける銘柄かというと、そこは慎重に見たいところです。配当投資として腰が引けるのは、還元の土台が連結配当性向30%だけだからです。DOE(純資産に対する配当の割合)を下支えに置いているわけでも、累進配当(減配しない方針)を掲げているわけでもありませんので、利益が減ればそのまま配当も減ります。今期の30円から25円への減配が、まさにその実例です。稼ぐ力の面でも予想ROEは4.3%、余力指数は+3.0ptで、増配によって利回りが育っていく姿は描きにくいところです。自己資本比率44.0%、ネットの有利子負債98億円という財務も、私の好みからは外れます。しかも第1四半期は経常赤字で、通期予想の達成には北米での関税コスト転嫁が進むことが前提になります。ここが崩れれば、配当性向30%の方針がそのまま次の減配につながります。買うとしても打診買いの範囲まで、と考えています。
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『世界一やさしい 高配当・優待株の教科書 1年生』
利回りの高さだけで飛びつかないために。自己資本比率・営業CF・配当性向のどこを見れば減配しやすい会社を避けられるのか、やさしく解説しています。
(※あくまで個人の見解です。投資判断はご自身の責任でお願いします!)
出典
- 日本プラスト「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」2026年8月7日
- 日本プラスト「剰余金の配当(増配)に関するお知らせ」2026年5月8日
- 株価:2026年9月4日終値470円
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